nyabot’s diary

電気猫の夢を見るお話

Fusion360+3Dプリンターで自作ロボットのしっぽを作る

しっぽを作ったのでまとめ。 1号には尻尾がなかったので、もしかすると最大の変更箇所になるかもしれない。

尻尾の役割1:表現に使う

ロボットの尻尾には、2つの機能・役割を持たせます。
一つは、表現のための可動。生物と比較すると、自作ロボットは表情や発声による感情等の表現が難しく、どうしても劣ります。しかしながら、表情や発声のパターンを増やして表現力を高める、といった方向性は今の自分には難しく、できそうにありません。
そこで、代わりに足や尻尾の動きで多様な表現ができるようにしたいと思っています。
足には自重を支えるという役割もあるため、あまり自由には動かせませんが、尻尾はどのような状況でも比較的自由に動かすことができ、ロボットの行動とリンクさせて表現に用いるのも容易なはず。

尻尾の役割2:赤外線照射角度の調整に使う

もう一つの役割は、家電操作用の赤外線LEDの照射角度を変更すること。
ロボットには赤外線LEDを搭載し、万能リモコンとして記憶させた赤外線を発することで家電を操作します。対象の家電はテレビや照明、エアコンなどの予定ですが、それぞれの家電はロボットから見て上方向や前方向など別々の角度にあるため、一工夫必要になります。
具体的には、以下のような方法が考えられます。

  1. 角度が違っても反応するくらいの強さで赤外線を発する
  2. 赤外線LEDを全方向に取り付ける
  3. 対象に合わせて赤外線LEDの向きを変更する

1はLEDに大電流を流すだけですが、通常LEDはそこまでの大電流に対応していないため、壊れたり寿命が短くなったりしそうです。
もっとも簡単なのは2の全方向にLEDを取り付ける方法ですが、見た目も考慮するとあまり個人的にはやりたくなく……。
尻尾の先端にLEDを取り付けたい、という考えもあり、尻尾を動かして赤外線の照射角度を変更できるようにする方法をとりました。
もっとも、対象とする家電の位置の把握は実装が難しそうなので、当面の間は天井の照明に向けるか正面のテレビに向けるか、という程度になりそうですが。

リンク機構を用いた尻尾の試作、失敗

当初はリンク機構を用いた設計にしていましたが、実際に印刷してみるとガタつきが大きく、角度を指定して固定するのは難しい状態でした。

プリントするまでもプリント後も、何度も修正を繰り返しようやくできたモデル。

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動作の増幅率が大きいため、ギアを使ってサーボのトルク不足を補う設計です。
リンクを用いた動き方も生物的な柔らかさがあり、複雑な構造は機械っぽさもあり、かなり気に入っていたのですが、結局ゼロから作り直すことに。
ガタつきの原因は0.2mmくらいの印刷誤差と思われるため、FDMではなく光造形のプリンターなら(あるいは高精度なFDMでも)うまくいくかもしれません。いつか再挑戦するかも。

シンプルな尻尾の設計

根元から縦横に動かす、という単純な構造で作り直した尻尾がこちら。

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尻尾を上げたときに、先端がロボットの頭部より高くなるようにしたかったため、長さ約20センチと少し長めの設計になっています。 尻尾の胴(?)部分は後々塗装することも考慮し、二層を重ねるかたちにしました。
先端はLEDとレンズを仕込むために複数のパーツを組み合わせています。
尻尾の根元、サーボモータを固定する部分は、動作を安定させるためサーボ(MG90)を両軸化し、加えて外からサーボが見えなくなるように作ってあります。
なお、メンテナンス性を考慮し、胴部と根元、先端はネジとナットで固定しつけ外しができるようにしてあります。
配線用の空洞も、先端から根元までばっちり通っています。「配線用の穴を空けたまま、いかに部品同士を固定するか」という点に一番頭を悩ませました。
複数作成する足と違い、一つ作るだけの尻尾は部品数を多くしても印刷や組み立ての労力をあまり気にしなくていいのが良いところですね。

3Dプリンターで一部出力した後、動作テストの様子。

動くように作っているとはいえ、実際に無事動くかどうかを試す瞬間は毎回緊張します。
動作させる上での注意点として、動かすスピードを速くすると(サーボモーターの角度を直接指定すると)トルクが負けてしまいます。重量だけ見てトルクは足りるだろうと高をくくっていたので少し焦りました。。
そこで、今回はループ処理で指定角度を徐々に変えるようにし、ゆっくりと動かすようにしています。
サーボそのままの速さでカクカクと動くロボットはあまり見かけませんし、基本的なことなのかもしれません。

足としっぽはサーボモーターの大きさにあわせて設計する必要がありました。
今後は足としっぽのサイズに合わせて、バランスをとりながら胴体と頭部を作成します。各種センサーやモジュールなどの配置を考慮して設計する必要はあるものの、可動しない部位はそこまで寸法をシビアに決めなくていいので楽……だといいなぁ。

つづく。